自らの役員報酬を約3分の1に。造船会社の経営者が、財務の実態に向き合い再建へ
利益改善と融資の見直しにより、年間の現金収支が1億円超改善
家業である造船会社を引き継いだ経営者。その経営を圧迫していたのは、資金繰りでした。
借入金の平均金利は4%超。毎月の元本返済も重く、会社に残したいお金が返済に回っていました。さらに、過去の資金配分によって、本業の利益につながりにくい資産に資金が固定されていました。
資金繰りを改善するには、まず会社のお金がどこにあり、どのような状態なのかを把握する必要がありました。
貸借対照表を見直すと、見えていなかった問題が浮かび上がりました。
貸付金、仮払金、立替金の内容と回収可能性を確認し、未払金などの支払義務も整理しました。さらに、関係会社株式や会員権など、本業の利益に直接つながらない資産についても、実際の価値を見直しました。
帳簿に資産として載っていても、その金額で現金に戻せるとは限りません。
一つずつ実態を確認して貸借対照表を修正した結果、会社は実質的に債務超過にあることが明らかになりました。資金繰りの苦しさは、一時的な資金不足だけの問題ではなかったのです。
現実に向き合う決断は、経営者自身の報酬にも及びました。
経営者は、自らの役員報酬を約3分の1まで引き下げました。年間で約1,000万円の削減です。
会社を立て直すために、自分自身が変えられることから手をつける。その覚悟が、具体的な行動に表れました。
支援では、債務超過を5年以内に解消し、債務償還年数を10年以内に改善することを目標に、経営改善計画を策定しました。
必要な利益を算出し、そこから売上目標を逆算。漠然と「売上を増やす」のではなく、会社を立て直すために必要な数字を明確にしました。
そのうえで、経営者自身が制御できることに向き合い、本業の利益改善に取り組んでいただきました。
経営者の行動と改善計画を、金融機関との協議につなげました。
財務の実態、再建に向けた計画、経営者自身の取り組みをもとに、金融機関との交渉を支援しました。
その結果、長期借入金から短期継続融資への切り替えが実行され、毎月の元本返済負担が軽減されました。
本業の利益改善と、元本返済による資金流出の軽減。この両方によって、年間の現金収支は1億円超改善しました。
貸借対照表には、経営者の判断と姿勢が積み重なります。
何にお金を使い、何を資産として持ち、どのように資金を調達してきたのか。貸借対照表には、これまでの経営判断が表れます。
私たちは、そこに経営者の人格と能力も表れると考えています。だからこそ、過去の数字を読み解くだけでなく、これからの数字をどう変えるかを大切にしています。
今回の再建を動かしたのは、経営者自身が現実に向き合い、自らの報酬も含めて変えられることを変えた決断でした。
その決断を、利益計画と金融機関の支援につなげる。財務支援を通じて、経営者が自分の意思で会社の未来をつくるための土台を整えました。
※企業の特定を避けるため、金額・金利は概数で記載し、一部の企業情報は掲載していません。年間の現金収支改善額には、本業の利益改善と借入金の元本返済負担の軽減を含みます。