EEAT(経験・専門性・権威性・信頼性)は、Googleが検索品質を評価するうえで長年重視してきた考え方です。しかし近年、このEEATは「SEOの評価基準」という枠を超え、Web上で信頼を得るための根本原則として、これまで以上に注目されています。 その背景にあるのが、生成AIの急速な普及です。現在では、一定水準の文章であれば誰でも、短時間で作成できる時代になりました。その結果、「文章が整っていること」自体の価値は相対的に下がり、代わりに「誰が、どのような立場と背景で、その情報を発信しているのか」が厳しく問われるようになっています。 特に、実体験に基づく経験や、長期にわたる活動の蓄積は、AIでは容易に再現できない要素です。本記事ではEEATの基本を整理したうえで、なぜ今この考え方が重要なのか、そして企業や専門家がどのように向き合うべきかを解説します。
目次
E-E-A-Tとは何か?基本の4要素をおさらい
まずはE-E-A-Tの4つの要素について、それぞれの意味を押さえておきましょう。E-E-A-TはGoogleの「検索品質評価ガイドライン」で示されている高品質コンテンツの評価基準であり、以下の頭文字をとったものです。
Experience(経験) – 実体験にもとづく情報の価値
経験とは、コンテンツ制作者(サイトや記事の著者)がそのトピックについて実際にどれだけの体験を持っているかという指標です。たとえば製品レビュー記事であれば、実際にその製品を使った人の生の体験談が高く評価されます。誰かから聞いた話をまとめただけの二次情報ではなく、自分自身の経験から生み出された一次情報に大きな価値があるという考え方です。
Expertise(専門性) – 深い知識・スキルにもとづく解説
専門性とは、その分野における専門的な知識やスキルの高さを指します。記事やサイトの内容が業界やテーマに精通した人によって書かれているか、正確な知識にもとづいているかがポイントです。例えば医療の話題であれば医師が執筆・監修しているか、法律の話題であれば弁護士など有資格者が関与しているか、といった点が専門性を支えます。専門性が要求されるジャンルでは、その道のスペシャリストが内容をチェックして正確で信頼できる情報を盛り込むことが重要です。
Authoritativeness(権威性) – 第三者から認められた実績や肩書き
権威性とは、情報発信者やサイトがその分野でどれほど権威ある存在と見なされているかを指します。具体的には、「業界内での評価や実績」がポイントになります。他の信頼できるサイトから言及・参照されている、著名な賞を受賞している、専門機関に属している、業界団体の公式メンバーである…など、第三者からの評価が高いほど権威性は増します。権威性は自社だけで直接高めにくい項目ですが、地道に経験や専門性の高いコンテンツを出し続け、他サイトやユーザーから言及されることで育っていく面があります。
Trustworthiness(信頼性) – すべての土台となる信頼の度合い
信頼性とは、そのコンテンツやサイトがどれだけ信頼できるかという評価基準です。実はE-E-A-Tの中で最も重要な要素がこの信頼性であり、他の「経験・専門性・権威性」の3つが土台となって支える中心的概念だとGoogleも強調しています。信頼性が高いコンテンツとは、情報が正確で安全であり、多くのユーザーや専門家から信頼される評価を得ているものです。たとえば会社概要や運営者情報を明記する、著者のプロフィールや経歴を示す、掲載している情報に裏付け(引用やデータ元)を示す、サイトのセキュリティ対策やプライバシーポリシーを整備する等が、ユーザーに「信頼できる」と感じてもらうために有効な施策となります。Googleの品質評価ガイドラインでも「ページの信頼性(Trustworthiness)が最も重要である」と明言されており、まずはユーザーに安心してもらうことを常に意識する必要があります。
E-E-A-Tが今これまで以上に重要視される理由
E-E-A-T自体は以前からGoogleの評価指標として存在していましたが、2022年末に「Experience(経験)」が新たに加わったことで「E-E-A-T」となり、その重要性が一段と増しました。では、なぜ「今」E-E-A-Tがこれまで以上に重要と言われるのでしょうか。その背景には、Googleの評価基準の進化と、検索を取り巻く環境変化があります。ここでは主なポイントを3つに整理して解説します。
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1. Googleのガイドラインとアルゴリズムの進化

Googleは常に検索結果の品質向上を目指してアルゴリズムをアップデートしてきました。その中でE-E-A-Tの重要度も増しています。検索品質評価ガイドラインにE-E-A-Tを盛り込んだのも、ユーザーに有益で信頼できる情報を届けるためです。特に医療や金融など人々の生活に大きな影響を与える分野(YMYL)では、誤った情報が表示されないよう細心の注意が払われており、権威ある公式機関や専門家の情報が優遇されます。これは例えば、医療の検索結果では厚生労働省や大学病院など公的・専門機関のサイト、金融では銀行や証券会社のサイトが上位に来やすいことからもわかります。2017~2018年頃から実施された「医療アップデート(通称: Medicアップデート)」以降、信頼性に欠けるサイトは大きく順位を下げ、逆に専門家による正確な情報発信をしているサイトが躍進しました。日本でも2016年末に起きた「WELQ問題」(大手キュレーションサイトの医療情報記事に盗用や誤情報が多く指摘され閉鎖に追い込まれた事件)がきっかけで、Googleが評価基準を厳しくした経緯があります。こうした流れの中で、「まずはサイトや運営者の実態を明確にし、信頼の土台を固めることがSEOのスタートラインだ」という認識が業界で広がりました。実際Googleも、「実体のないサイト」は検索結果から排除する傾向にあると指摘しており、技術的なSEOの前にビジネスとしての実在証明がスタートラインだと述べています。
2. 生成AIの普及による「文章の質の平準化」
近年、ChatGPTをはじめとする生成AIの登場により、誰もが簡単に大量の文章コンテンツを作れる時代になりました。コンテンツ制作のハードルとコストが劇的に下がった結果、ウェブ上には質の低いコンテンツや画一的な文章が爆発的に増加しています。言い換えれば、「それっぽい文章」を作ること自体は容易になり、サイト間で文章のクオリティが平均化しつつあるのです。このような状況では、単に読みやすい記事を書くだけでは差別化が難しくなります。Googleも無限に増えるページすべてをクロール・評価できるわけではないため、低品質な量産コンテンツが多いサイトはクロール対象から外し、質が担保されたサイトだけを評価したいと考えています。そこで重視される判断基準がE-E-A-Tです。「その情報は他の誰でもなく『この人・この企業だからこそ発信できる内容か』」という視点でコンテンツを評価しようとしているのです。一次情報や独自のノウハウが盛り込まれたコンテンツ、信頼できる発信元からの情報でなければ、高い評価は得られにくくなっています。
またユーザー側の動きにも変化が出ています。情報過多による「検索疲れ」「情報収集疲れ」が指摘されるようになり、ユーザーはなるべく効率よく安心できる情報に辿り着きたいと考えるようになりました。その結果、「この人(会社)が言うことなら信頼できるから読もう」という、発信者の信頼性でコンテンツを取捨選択する傾向が強まっています。SNSや他のメディアでも玉石混淆の情報があふれる中、企業や専門家など信頼できる発信源にユーザーが集まる流れができており、この点でもE-E-A-Tの重要度が増しているのです。
3. AIO時代における検索環境の変化

「AIO」とはAIによる検索体験(Artificial Intelligence + Search Optimizationの造語)とも言われ、AIが検索結果を要約・生成してユーザーに直接回答を提示する新しい検索体験の潮流を指します。Googleが導入を進める生成AI搭載の検索機能「SGE(Search Generative Experience)」や、BingのAIチャット検索などがその例です。このAIO時代には、ユーザーが従来の検索結果一覧をクリックせずともAIがまとめた回答を得られるケースが増えます。つまり検索上位に表示されるだけでは不十分で、AIによる回答の“引用元”として選ばれなければユーザーの目に触れない可能性も出てきました。AIは信頼できる情報源からコンテンツを要約・引用する傾向があるため、裏を返せばAIに引用されるサイト=信頼性の高いサイトでなければなりません。実際、「AI生成の回答に自社の情報が取り上げられるか」が今後の新たなSEO指標になるとも言われています。そのゲートキーパー(門番)の役割を果たすのがE-E-A-Tなのです。権威のない寄せ集め情報サイトや中身の薄いブログは、AIからは無視されてしまうでしょう。一方で、確かな経験にもとづく一次情報や専門家の知見、他からも参照される信頼性を備えたサイトは、AIによる要約にも積極的に引用され、まさに「AI時代の検索で勝ち残るサイト」となり得ます。
このように、検索エンジンの評価アルゴリズムの方向性・ユーザー行動・AI技術の進展という複数の観点から、E-E-A-Tは今まで以上に重要視されるに至っています。「E-E-A-Tを無視するサイトは今後見えなくなる」とまで言う専門家もおり、現状ではE-E-A-Tを意識したサイト運営をするか否かが、生き残りの分かれ道になりつつあるのです。
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E-E-A-Tを強化するために企業ができること
では具体的に、企業のウェブサイトはどのようにE-E-A-Tを高めていけばよいのでしょうか。ポイントは、「実体」「関係性」「継続性」という3つの要素を意識することです。これらはSEO専門家の資料でも「短期的なテクニックでは再現できない、勝負に参加するための前提条件」だと強調されています。以下、この3要素ごとに具体策を解説します。
実体: ビジネスの「本物らしさ」を示す

実体(実在性)とは、サイトの背後に実在する企業・人間・事業がきちんと存在していることを示すことです。ウェブ上だけの架空の存在ではなく、現実社会で信頼に足る主体が運営していると証明することがE-E-A-Tの土台になります。具体的には、以下のような施策が有効です。
- 会社情報や連絡先の明示: 企業サイトであれば、会社概要ページに所在地や代表者名、連絡先を詳しく載せます。担当者の氏名や顔写真、経歴を紹介するのもよいでしょう。「どこの誰が運営しているか」が不明なサイトは、それだけで不信感を招きます。Googleも実体のない匿名サイトは評価しない傾向にあります。
- 運営者や著者のプロフィール掲載: オウンドメディアやブログの場合、記事ごとに筆者のプロフィールや専門分野、実績を記載しましょう(医師・税理士など資格があれば明記)。専門家でなくとも、執筆者のバックグラウンドを示すことで読者の安心感が高まります。AI時代には、このような著者情報の構造化データ(schema.orgのPersonスキーマ等)を入れておくと、検索エンジンにもより明確に伝わります。
- 実績や事例の公開: 自社の提供するサービスや商品の実績を具体的な数字や事例として示しましょう。例えば「創業○年で累計△△社にサービス提供」「直近1年間で売上◯%成長」などの定量データを掲載します。また、導入事例・お客様の声・ビフォーアフター等のコンテンツも有効です。これは単に自慢をするためではなく、実在する事業の成果を証拠立てて示すことで信頼を得るためです。もちろん誇張や虚偽は厳禁で、数字は常に最新情報にアップデートすることが大切です。
こうした「実体の証明」によって、サイト訪問者や検索エンジンに対し「このサイトは現実の社会でちゃんと活動している信頼できる会社(人)が運営している」という安心感を与えることができます。実体の伴わないサイトは、いくらテクニカルなSEOを施しても上位表示の土俵に乗せてもらえない可能性が高い点に注意が必要です。
関係性: 権威と信頼を裏付けるネットワークを構築する

関係性とは、サイトや企業が外部との健全なつながりを持っているかを示す要素です。具体的には、業界内での評判や他サイトからの言及(被リンク)、ユーザーとのつながりなどが該当します。権威性の項目でも触れたように、他者からの評価が高まるほどサイトの信頼度は上がります。企業として以下の点を意識しましょう。
- 良質な被リンクとサイテーションの獲得: 業界の関連メディアやニュースサイト、専門家のブログなどから自社サイトが紹介・リンクされると、Googleからの評価も向上します。ただし被リンクの数を機械的に増やすのではなく、業界内で確固たるポジションを築き、ステークホルダーと良好な関係を構築した結果としてリンクが集まるのが理想です。例えば業界団体や協会の公式サイトからリンクをもらえるよう加盟・貢献する、大学や研究機関と共同研究して発表する、信頼性の高いサイトに寄稿するなど、正攻法で権威の裏付けを作りましょう。こうしたリンクは質が高く、Googleも高く評価します(なお近年はnofollowリンクであっても言及されるだけで評価につながるケースも指摘されています)。
- 第三者からの評価・レビュー: 自社の商品・サービスに対するユーザーレビューや口コミ、あるいは専門家からの推薦コメントなども信頼性を高めます。例えばGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)で高評価レビューが多いといったことも、間接的に評価に寄与するでしょう。権威性の観点では、業界の賞の受賞歴や公的認証(例:〇〇省認可事業、△△協会認定資格者が在籍 等)があればサイト上でわかりやすく示すべきです。こうした第三者のお墨付きはユーザーの安心感につながります。
- ユーザーとの信頼関係の可視化: 長年の取引先やリピーター顧客との関係性を示すことも有効です。具体的には「◯年以上のお付き合いがある顧客が〇社」など継続取引の実績や、導入企業一覧・ロゴ掲載、あるいはユーザーコミュニティ運営などを通じて、「多くの人に支持されている」ことを伝えます。またSNSでのフォロワー数やエンゲージメントの高さも信頼の指標になり得ます。自社発信への反響やユーザーとの対話履歴をサイト上で紹介するのも良いでしょう。
要するに、自社サイトをインターネット上の孤立した島にしないことが大切です。業界やユーザーとのつながりを強化し、「他者から推奨される存在」になることで、結果として権威性・信頼性が高まっていきます。なお、被リンク獲得を目的とした不自然な提携やリンク集め(いわゆるブラックハットSEO)はかえって評価を下げるので注意が必要です。あくまで事実にもとづく正当な関係性を築くことが長期的なSEO成果につながります。
継続性: 長期的な発信と改善の積み重ね

継続性とは、そのサイトが長期にわたり継続的に価値提供や運用が行われているかを示す要素です。一時的に作られて放置されたサイトではなく、常に最新情報に更新され、ユーザーとの関係を長く維持しているサイトは信頼性が高いと評価されます。継続性をアピールし高めるポイントは次の通りです。
- 定期的なコンテンツ更新: サイト開設後、記事を数本書いて終わり…ではなく、ブログやニュース欄を使って定期的に情報発信を行いましょう。「常に新しい情報を提供している」「サイトが今も生きている」こと自体が信頼感につながります。更新頻度が高すぎる必要はありませんが(質を犠牲にして量産してはいけません)、月1回でも良いので継続的に記事を投稿し、既存ページも情報が古くなればアップデートする姿勢が望ましいです。
- サイト運用の長期実績: 「創業○年」「サービス開始から○年」といった運営期間の長さも一種の信頼要素です。もちろん新しい会社が短期間で信頼を得ることも可能ですが、やはり長年の実績はそれだけ多くの利用者に揉まれて磨かれてきた証拠と受け取られます。可能であればサイト内に沿革や活動年表を載せ、歩んできた歴史を示すのも良いでしょう。「10年以上継続しているサービスです」と謳えるだけでもユーザーの安心感は違います。
- ビジョンやポリシーの公開: 単なる商品・サービス紹介にとどまらず、企業としての理念や長期計画を発信することも継続性アピールの一環です。たとえば「今後○○な社会を目指して△△な事業に取り組んでいきます」といった長期的ビジョンや、環境・社会への取り組み方針などをサイト上で公開すると、「腰を据えて事業を続けているし、今後も続ける意思がある会社だ」という印象を与えられます。これらは直接SEOランキング要因ではありませんが、信頼性醸成には有効です。
- 継続した改善とユーザー対応: サイトのUX改善やユーザーからのフィードバック対応を継続的に行うことも大切です。お問い合わせ窓口を用意し、問い合わせには迅速・丁寧に対応する、プライバシーポリシーや利用規約を定期見直しする、不具合修正や機能改善の履歴を公開する等、ユーザーとの長期的な信頼関係を構築・維持する努力を示しましょう。こうした地道な姿勢は一朝一夕で築けるものではなく、中長期でコツコツ取り組む必要がありますが、確実にサイト全体の信頼度を底上げします。
以上のように、「実体」「関係性」「継続性」を軸に据えてサイト運営を行うことが、E-E-A-Tを強化する王道と言えます。裏を返せば、この3つが欠けているサイトは信頼性に乏しく、短期的な小手先SEOでは太刀打ちできないということです。実際、E-E-A-Tの向上施策は一発で順位が急上昇するような即効性のあるものではなく、地道にリソースを投じ続ける前提の取り組みです。しかしながら、その継続的な努力が半年後・一年後にドメイン全体の評価向上(ドメインパワーの自然上昇)や、大きなアルゴリズム変動時にも順位が安定する強さにつながります。「今日は成果が見えなくても、明日の盤石なSEOのために投資している」という視点で、腰を据えて取り組んでいきましょう。
EEATの信頼こそがこれからのSEOの土台

生成AIの台頭や検索体験の進化により、ウェブ上のコンテンツ競争はこれまでとは異なる局面に入っています。そうした2025年現在において、E-E-A-Tは非常に重要で、今後ますます重要度を増す概念だと考えられます。経験・専門性・権威性・信頼性という質の高い情報発信の軸をしっかり据えて取り組めるかどうかが、これからのSEOの成果を大きく左右すると言っても過言ではありません。
幸い、まだE-E-A-T強化に本格的に着手できていないサイトであっても、今から取り組めば決して遅くはありません。まずは自社サイトの状況を見直し、実体情報の開示やコンテンツの見直しなど小さな一歩から始めてみましょう。既に対策を進めている方も、この機会にどの施策に優先的にリソースを投下すべきか戦略を練り直すことをお勧めします。E-E-A-T向上のための施策は地道なものが多いですが、その分競合他社との差がつきやすい分野でもあります。他社が真似できない自社の強み(経験や実績)を発信し、それを積み重ねていくことで、やがてドメイン全体の信頼性が高まり検索エンジンからもユーザーからも選ばれる存在になれるでしょう。最後に肝に銘じたいのは、E-E-A-Tはあくまでユーザーのためのものだという点です。テクニックありきで要素を詰め込むのではなく、「この情報はユーザーにとって役立つか」「安心してもらえる表現か」を常に意識してコンテンツを作成・改善していきましょう。その先にこそ、検索エンジンからの正当な評価もついてくるはずです。経験に裏打ちされた信頼ある情報発信で、自社サイトの価値を高め、これからのSEO/AIO時代を勝ち抜いていきましょう。